人間関係

「助けてあげたい」という気持ちの裏に隠れている(かもしれない)歪んだ正義

突然ですが、あなたは自分の家族や友人が、(一般的に考えて)辛い状況、例えば、死別、失恋、離婚、リストラ、さまざまな挫折などに直面していることを知った時、どんな風に接してあげようと思いますか?

こういう場面で、積極的に「どうにかしてあげなくては!」「助けてあげるべきだ」と思う人も少なくないかもしれません。

世間的には、人を助けることは「良いこと」とされているので、わりと多くの人が、この行為を疑いなく称賛するでしょう。

「人を助けることの何が悪いんだ!」とお叱りを受けてしまうかもしれませんが、もちろん、その気持ち自体は悪いものではありません。
問題なのは、積極的に人を助けることが絶対的に「正しい」と思い込んでいる点にあります。

人助けは絶対的に良いことなのか?

積極的に人を助けようとする人の多くは、人助け=「良いこと」という世間のイメージを後ろ盾に、その行為を正当化してしまう傾向があります。

中には、進んで人助けをしない人に対して「あの人は薄情だ」とか「本当に友達だと思っているのか」などと正論を振りかざすような人もいるようです。

おそらく、正しいことをしているという確信が、そういった偏った感情を作るのでしょう。

しかし、積極的な人助けは、本当に正しいことなのでしょうか?

私は、こういった偏った考え方は、ちょっと想像力に欠ける気がします・・

場合によっては、人助けが相手のためにならないケースもあると思うのです。

なぜそう思うのか。
具体的な理由を、私なりに述べてみます。

理由1

冒頭で、あえて「(一般的に考えて)辛い状況」と書いたのは、このような状況にあっても、人によって辛さ、悲しさに個人差があるからです。
つまり、人によっては助けなど必要としていない場合も十分にありえるということです。

理由2

相当のショックを受けている場合、どんなに親しい関係であっても、しばらく会いたくない、話したくないという状況もありえます。

理由3

そもそも「果たして自分が相手の力になれるのか?」という、能力の問題も大きいと思います。

相手が本当に苦しんでいる状況にいるのなら、心身ともに相当不安定になっていることは、想像に難くありません。

もしかするとその相手は、今まで自分が接してきた時の相手とは、(ショックのせいで一時的に)別人のようになってしまっているかもしれません。

そういう相手を助けることなんて、そう簡単にできるものでしょうか?

精神的に人を助けようとする場合、最低限、自分の人生経験、話術、語彙、雰囲気を作る力、豊な表情などをひっくるめた、人としての総合力が、どうしても必要になってくるはずです。

そう考えてみると、人を助けることって、誰にでもできることではないんじゃないでしょうか。

なぜ、歪んだ正義を振りかざす人がいるのか

しかし、人助けは正義だと信じて疑わない人達の多くは、ここまで真剣に物事を考えることもなく、ある意味では「暴力的に」自分の正しさを押しつけてくるようなところがあります。

このような人達は、病気で悩んでいる人に対し、平気で「大丈夫、治るはずだよ」なんて言葉をかけ(自分は病気になった経験もないのに)、頼まれもしないのに、失恋したばかりの相手から話を聞き出し、どこかで聞いたようなマニュアルどおりのアドバイスをしようとします。
(少し極端に書いてます)

相手からすれば、明らかに「余計なお世話」なのに、タチが悪いことに、本人たちは「良いことをした」と思っている・・・

私は、はっきり言って、こういった想像力の無い人がとてもとても苦手です。
(この文章を書いているのも、そういう人達に気付いてほしい・・という思いもあります)

昔は、「どうして、こんなにも人の気持ちを汲めないんだろう・・」と、不思議に思っていましたが、今では、その答えの一つが分かっています。
(もちろん、これだけが理由ではありませんが)

要は、こういった人達は、「思い込みに支配されている」のだと思います。

または、「物事を自分の頭で考えるクセがついていない」ともいえます。

世間的には、病気の人には優しい声をかける、失恋して悲しんでいる人の相談に乗ってあげることは、良いことだとされています。

たしかに、それはそうなのですが、当然ながらそれは、時と場合によりますし、何よりも、相談相手の人格や能力によっては、むしろ相談しなければよかった・・という結果になってしまうことも考えられるわけです。

だからこそ、人を「助けてあげたい」と思った時は、慎重になるべきだと思うのです。

余計なお世話にならないかどうか、自分に相談に乗る力量があるのかどうか、さまざまな可能性を考慮した上で、慎重に「自分にできること」を探す。

そのほうが、相手のためになるのではないでしょうか。

これは、「みんなと同じで安心」という感覚の危険性という生地の中でも書いていますが、みんな(世間)がそう言っているからといって、自分の頭で考えずに行動してしまうことは、結構危険なことなのです。

薄っぺらい映画やドラマ、小説などでは、友情や愛情がさまざまな形で美化されていますが、あれは、あくまでファンタジーだということを忘れてはいけません。

現実の私たちは、結構クールですし、日ごろから「余計なお世話だな・・」と思う機会も多いものです。

あなたの人助けは、本当に相手の立場や状況を考えたものですか?
ただただ、自分の正義(価値観)の押しつけになっていませんか?

ちょっと冷静に考えてみて、その上での行動であれば、一見、余計なことであっても、その気持ちはおそらく相手に伝わるはずです。

個人的には、状況を理解した上で、「何も聞かず放っておいてくれる人」に優しさと、自分の能力を過信しない謙虚さを感じます。

大概の場合、人格者とは詮索やおせっかいをしない人ですしね・・

私自身も気をつけたいと思います。

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