ストレスマネジメント

本当の優しさとは? 自分を犠牲にしてまで人に優しくしてはいけない理由

他人の意見を受け入れられない自分。

誰かに嫉妬してしまう自分。

誰かを攻撃したくなってしまう自分。

そういうネガティブな自分に嫌気がさして、「もっと優しくなりたい」と考えたことがある方は少なくないのではないでしょうか。

優しい人は、周囲から尊敬されやすかったり、受け入れてもらいやすい傾向がありますから、優しい自分でありたいと思うのは自然なことだと思います。

ただ、個人的に昔から引っかかっていることがあります。
それは、世の中には、優しさを勘違いしている方が結構多いのではないかということです。

本当の優しさって一体どういうものでしょう?

昔読んだ本に「ソースが好きな人と、マヨネーズが好きな人がいて、食べ物にどちらの調味料をかけるか揉めた場合に、二つを混ぜ合わせたソースマヨネーズにしてみてはどうかと提案できる人は優しい人だ」というようなことが書かれていました。

優しさの定義は人それぞれで構わないわけですが、私はこの考え方を結構気に入っています。

簡単に言えば「お互いの言い分をしっかり聞いて、お互いが幸せになれる方法を自分から提案てきる人」が本当に優しい人であるという考え方です。

私がこの考え方を気に入っている理由は、優しさが「自己犠牲的ではないところ」です。

つまり「自分にも相手にも優しい人が本当に優しい人」ということですね。

しかし、多くの方がイメージしている優しい人は、自己犠牲的な人を指しているような気がします。

いつも笑顔で、周囲に気を配り、イライラすることもなく、和を乱すこともなければ、人と口論することもない。

そんな感じの人です。

しかし、本当にそれが優しい人と言えるのか個人的には疑問を感じます。

そういったタイプの方が周囲にいるようなら、その人の行動や言動をよく観察してみてください。

大抵の場合、本当は自分を抑圧して、無理に優しい人として振る舞っているだけで、本人は相当苦しんでいることが見えてくるはずです。

つまり、一般的にイメージされる優しい人は、他人に対しては優しくても、「自分には全く優しくない人」なんじゃないかなと思うんです。

自分に優しくできないと、いろいろな問題が起こります。

最たるものは人間関係の問題でしょう。

無理に優しくあろうとしてしまう方の周囲には、必ずといっていいほど、自分のことしか考えず、思い通りに人を支配したいという欲望を持ったタイプの方が近づいてくる傾向があります。
おそらく、支配しやすそうな雰囲気を嗅ぎ付けて寄ってくるのでしょう。

人を支配したいという欲求は、程度の差はあれ誰の心の中にもあるものですが、その欲求が強い人には気をつけたほうが無難です。

例えば、どんな人がタイプ?
と質問した時に「優しい人がいい」と答える人は少なくありませんよね。

その答えの裏側には、多くの場合、優しい人=自分のワガママを許してくれる人というニュアンスが潜んでいるもので、そういう人は、相手を思い通りに支配したいという願望が強い傾向があります。

ですから、そういう支配的で自己愛が強い人たちには気をつけるべきだと思うのですが、残念ながら、なぜか両者は、お互いに引かれ合うことが多いようなんですね。

考えてみれば、自分を犠牲にすることがクセになっている人と、自分のために犠牲になってくれる人=支配しやすい人を求めている二人の相性が合うのは当然なのかもしれません・・

しかし、このような関係は共依存状態になりやすく、一般的に、幸せになることはなかなか難しいので・・
余計なお世話ですが、パートナー選びには慎重になったほうが無難だと思います。

ということで、他人に対しては優しくても自分に優しくできない人は、いろいろな苦労を背負ってしまう可能性が高いわけです。

子どもの頃に習った道徳の授業では、優しい人は周囲からも尊敬されるし、幸せになるものだと教わりました。
しかし、現実はそううまくいかないようです。

それはなぜなんでしょう。

たぶんその理由は、人間関係で苦労ばかりしてしまう人の優しさは、「本当の優しさではない」からなのだと思います。
厳しい言い方ですけどね・・

じゃあ本当の優しさって何かというと、前述したとおり、個人的には「自分にも相手にも優しくすること」なのだと思います。

なぜ私がこんな厳しいことを書くのかというと、理由は二つあります。

一つ目は単純で、自分を犠牲にしてまでも他人に優しくしようとする人は、基本的には優しい気持ちを持っている人なわけで、そういう人にはあまり苦労して欲しくないと思うからです。

当院の患者さんの中にも自分を犠牲にしてしまう方は少なくありませんが、そんな方々には、多少厳しい表現になっても、こういったことを伝えているつもりです。
当然それは、患者さんのストレスを少しでも軽減するお手伝いさせていただき、症状改善の可能性を高めたいと思うからです。

二つ目は、これは私の勝手な理想でしかないんですが、本当に優しい人が幸せになれない世の中なんてクソじゃないですか。
正直、そんな世の中なら生きてる意味あるんだろうか・・とさえ思ってしまうんですよね。

とにかく私は、この世の中は、本当に優しい人であれば幸せになれる世界のはずだと信じたいと思っていまして。

そういう理想を持っている私にとって、優しい人が苦労しているという現実はどうしても受け入れることができないんですね。
だって矛盾しちゃうわけですから・・

そこで何度も登場している、「自分にも相手にも優しい人が本当に優しい人」という考え方が活きてくるわけです。

この考え方を前提にするならば、一般的にイメージされる優しい人は、他人に対しては優しくても自分には優しくない人であり、それは本当に優しい人ではないということになります。

つまり、その人たちが仮にあまり幸せじゃなかったとしても、私の信じたい世界観は崩れないわけです。

とはいえ、さすがに自分の理想の世界観を正当化するためだけに、この考え方を採用しているわけじゃありません。

そうではなくて、自分にも他人にも優しくできる人は「実際に幸せそうに見える」んですよ。
とてもバランスよく生きている感じがするんです。

たぶん、自分に優しくできる人は心に余裕があるので、自然と人にも優しくできる。そしてまた人から愛される。
そんな循環が自然に起こってくるのだと思います。

つまり、「誰かに優しくなるためには心の余裕が必要」なわけです。

例えば、自分の体調が悪いにも関わらず、誰かを助けようとするのは不自然ですよね。

優しさだって同じで、自分に優しくでない人は、なかなか心に余裕なんて生まれないわけで、自分に余裕が無い状態で人に優しくしようとするのは順番が逆なんじゃないでしょうか。

ですから、自分を抑圧してまでも優しい人として振る舞っている方には、「その優しさを、是非自分自身にも向けてもらいたい」と思うんです。

そうすれば、本当の意味で優しい人になっていくはずですし、更に幸福になっていくんじゃないでしょうか。

具体的な方法は、以下の記事※でも書いてありますが、小さいことからコツコツと「不快なことを避ける努力をすること」が重要だと思います。

最悪の選択を避けるためにも知っておきたい人間の最も根元的な欲望とは?

自己犠牲的な生き方がクセになっているかもしれない・・という自覚がある方は、嫌なことをしない訓練を徹底的にすべきだと思います。
それが、自分に優しくすることの第一歩になるはずです。

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